投資(企業調査)

データ・アプリケーションへの投資を考える

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データ・アプリケーション。略してDAL。
企業間の取引を効率化する、EDIソフトの販売と保守を行う会社。

EDIとは何ぞや?

電子データ交換(でんしデータこうかん、EDIElectronic Data Interchange)とは、 標準化された規約(プロトコル)にもとづいて電子化されたビジネス文書(注文書や請求書など)を専用回線やインターネットなどの通信回線を通してやり取りすること。とりわけ、企業間の取引を行うこと。

電子データ交換 – Wikipediaより引用

企業間の受発注・請求を効率化する仕組みで、 要はこれまでFAXで受発注とかしてたのを、ネットでやりますよって感じ。
EC・通販に似ていると思うけど、その注文システムの部分って感じかな。
リンク:DALを知るキーワード

経営理念

未来情報社会創造はひとりひとりの喜びから

その為の指針。

1、革新や進捗を目指した経営を行います。
2、社会及びお客様に対して貢献します。
3、株主に対して貢献します。
4、社員の幸福を実現する経営を行います。

経営理念はちょっと意味が良くわからないんだけど、経営理念実現の為の方針として、社会・お客様・社員・株主の方向を向く。
これは素晴らしい考え方だと思う。

社長

武田好修社長は技術から営業まで広く知る人物。
社長就任は2015年から。
リンク:第30期株主通信

強さ

EDIミドルウェアでシェア1位の35%。
リンク:DALにまつわる数字

営業利益率は2019年度28.7%。
中計の2022年度は30%が目標。

高い業界シェアと高い利益率が強さを表している感じね。

業績の推移

2008年の業績が悪いね。
2008年はソフトウェア売り上げの低迷で最終赤字。子会社の取得と上場コストもあった感じ。
単体から連結へ移行したタイミングだけど、単体の業績でみると利益水準悪いけど一応黒字。

2009、2010年も上半期は赤字先行。ソフト売り上げが低迷したとの事。
2008年~2010年は売り上げが14億円台の横ばい。
リーマンショックで業務効率化の営業チャンスと思いきや、IT投資には消極的な外部環境だった模様。

2013年度は東日本大震災に起因する災害対策関連需要で大幅増収増益。
2014年度はその反動で減収減益。減益幅大きい。
ソフトウェア売り上げが低調で、メンテも低調。
ただ、特需の2013年を抜いて2012年から2014年の推移を通期で見た場合は堅調な推移に見えるかな。1Qは弱い数字だけど。

2016年度は1Qにレガシーシステム移行に係る大型案件の受注でソフトウェア売上が増大
レガシーシステムとは何ぞ?…とりま大型案件で伸びたらしい。

2017年度はその反動で2016年を3Qまで減収減益。超えられず。
だけど、4Qで一気に盛り返して増収増益
理由としては「公共関連の大型案件を受注したことや『ACMSApex』の販売強化等」の成果との事。

だけど2018年度は1Qから減収も増益からスタート。
2期連続で続いた大型案件のスポット売り上げの反動があるものの、大型案件がメンテナンスに移行したってのはあるんじゃないかな。
2018年からメンテとソフトの比率が拡大した感じで、これまでメンテ比率って60%を超えなかったんだけど、2018年から60%超える水準になってきてるね。

なんだけど、2019年は大きな減収減益から1Qがスタート
ソフトの売り上げ減収。メンテも大型の契約期間満了があって減収。
4Qにソフトの売り上げが頑張って終わってみれば通期では増収増益の1年

そして2020年度。
1Qは販売終了のソフトがあった影響でソフトは売り上げ減。メンテは前年水準で微増。

ここまでの情報は決算単信に書かれているっぽ。
リンク:決算単信

中期経営計画としての2022年度の会社目標はグラフの通り。

こうして見てみると、ソフト売上もメンテ売上も大型案件に振らされている感じがあるよね。
前年同期比で業績を見ていると、プラスにもマイナスにも変化が大きくて判断が難しいと思う。
ストック型として期待されるメンテも大型案件が契約終了したりと難しい。

2011年度から営業利益率が大きく良化。
これまでは10%以下の水準だったのが25%前後の水準にステップアップしてる。

配当政策

2018年度までは特に配当性向等で数値目標は掲げられなかったものの、2019年度末に中期経営計画策定を策定。
そこでは2022年3月期においてDOE5%を目標と設定。
…ま、それなら何故DOEなのか。現状はDOEで計算するとどうなのか。
そういった説明があって良いと思うけどね。

一応過去の配当性向の推移をザックリ確認すると、10%~25%と言ったところ。

あれこれ

製品を企画・開発して、製品化して、販売し。保守サービスまで行う。
EDIの分野で自社開発して提供している事は珍しいらしい。
リンク:第30期株主通信

毎年研究開発費が掛かってきてるけど、強い会社はしっかり利益を出して、しっかり研究開発費にもお金を投じていたりするから、前向きにみて良いと思う。

全銀EDIが2018年12月から始動。
導入の大きなメリットは、経理部門の負荷低減。

共同実証実験のとおり、売掛金の消込業務に年間1万5250時間もかかっていたのが、消込自動化により年間6000時間まで削減できるというのは非常に大きな業務改革です。

会計・経理業務を大きく変える「全銀EDIシステム」より

これは既存ソフトの追加機能対応項目に。
リンク:DAL、流通EDIソフト「ACMS Apex」で全銀EDIシステム(ZEDI)を利用可能に

NTTによる固定電話網のIP化が2024年から始動。

従来型のEDI環境が使えなくなり、インターネットEDIへの移行が必須になるため、既存製品からの切り替えニーズが期待できます。

固定電話のIP移行「2024年問題」は商機:データ・アプリケーションより引用

業界の新しい技術や新しい規格でビジネスが活性化されるとは思うけど、乗り換えのきっかけにもなる。DALだけの追い風じゃないよね。
シェア2位以下も気合を入れて攻勢をかけてくるハズ。
こういうので商機を生かせたかどうかは終わってみないと分からないかなぁ。

会社四季報によると、営業は代理店経由が中心との事。

ライセンスの出荷数は安定的に伸長。
導入企業数も併せて安定的に伸長。

中期経営計画に合わせて、人員と職場環境の強化する感じ。
会社四季報によると2020年3月に引っ越しの予定。
テレワークとか働き改革にも意欲的らしい。

退職率が低い。
単純に辞める必要がない、働きやすい会社って事かな。
IT系って言うても人海戦術で激務で離職率も高い業界だから、逆を行っているのは良いことだと思う。
リンク:第30期株主通信
株主通信にそう書いてあるんだけど、2017年3月期(32期)に前年度111人の従業員が90人まで一気に減ってる。なんで?

大株主

会社四季報によると、大株主は自社が1位。
光通信さんが2位。3位は前社長で4位は現社長。
インサイダーの株式保有状況を見るに、 保有を減らしていない傾向にあるから非常に好感触。

橋本慶太前社長の記事。
リンク:株式会社データ・アプリケーション ~企業間電子商取引から社内アプリまでをシームレスに連結するシステムを開発・販売~

保有有価証券

株式と投資信託を保有。
株式は業務上関係のある会社の株という事で持ち合い?
投資信託の中身は不明。VIXのインバースとかそんなんじゃ無ければ良いけど。

株価と指標

まずは各種指標をヤフーファイナンスから。株主数は会社四季報から確認。

予想PER12.86倍
実績PBR1.64倍
配当利回り2.37%
時価総額67.24憶
株主数695人

株価は上場して直ぐに直下型の下落。
1年程度で9割引き水準へ。
そこから2010年頃を底に、跳ねては暴落の行って来い。
を何度も繰り返す、下値切り上げ型の上昇トレンドではあるかな。
安い時に持っていれば、どこかで吹き上がる傾向にあるのかもしれないね。

個人投資家に伝わっていない感

上場当初は個人投資家向け説明会をしたりしてた感じ。でもコストの割に株主が増えなくてやらなくなった感じなのかな。
上場時の資料には株主価値の極大化って書かれていたり、経営理念に対する指針を見ても株主を意識しているって気持ちがわかる。
HPだってグラフィカルに説明していて分かりやすさを意識していると思う。

なんだけど、データ・アプリケーションへの投資が難しいなと思うのは、分かりづらさかもしれない。
EDIの会社と思えばシンプルで分かりやすいんだけど、各種資料を読むと専門用語は多いし、(特徴をイメージできない)アルファベットの製品名が色々出てくるし、なんだか小難しいイメージを持っちゃわない?
EDI系製品、AI統合製品、Any系製品、RACCOON、ACMSApexと言われても、さっぱらぷー!
それだけで敬遠する人は多そう…。

中高生が理解するには難しい会社。これが一番のネックなのかもしれない。

株主に報いたい、株主を増やしたいって意欲はあると思うんだけど、うまく伝わってない感じじゃないかなぁ。

成長性

現状は急拡大・爆成長のイメージはあんまり無い。いきなり!衰退!のイメージもないけど。
大型案件の獲得や契約満了の影響が大きいから、決算単信の「経営成績に関する説明」はチェックを。

中期経営計画では会社の新しいステージへの進化方針を打ち出しているね。
EDIの会社から、社会インフラを支えるソフトウェアの会社として進化していきたい。
EDI企業のマーケットリーダーは維持しつつ、今後はデータインテグレーションの領域でリーダーを目指す考え。との事。

リンク:2019年3月期決算説明会 資料動画配信

…データインテグレーションとは何ぞや?
例えば家庭環境ではスマホで家中の家電が繋がるっていう仕組みがあると思うけど、それの企業版。みたいな感じ。企業内の様々なシステムが一つにつながる。そんなイメージが近いかなと思う。

投資を考えるポイント

高い利益率・ストック成長性・割安な指標・小型株。
この観点から投資家としてDALに興味が沸く人はいると思う。

EDIのソフトと保守で企業のインフラとして広く浸透している状況。
EDIミドルウェアでシェア1位。
盤石とか圧倒的では無いにしても35%のトップシェアは強いよね。

2022年に売上30億円、営業利益9億円の目標を掲げていて、成長意欲を感じるね。
過去の推移から見るにかなり高い成長角度だから、達成出来たら高く評価されるんじゃない?

だけど、EDIの会社としての拡大には限界が近い可能性もあるかな。(これは分からないけど)

業績は成長トレンドだけど、業績の推移だけ見ると着実な増収増益の安定成長型には見えづらいかなぁ。
大型案件の獲得・解約で前年比で業績のブレが上にも下にも大きい年があって、実力を見るのが難しくない?
四半期毎でストック比率を出すとそこでも比率のぶれは結構大きい感じね。
近年は保守の売上がソフトの売上を上回って積み上げ中で、中期経営計画でもストック比率を65%以上を目指す考え。

近年の高い利益率と成長感がある割には割安な指標。(PER・PBR・配当利回り等)

株主を向いた経営は安心して長期で株を持つ気になる。
株主数が少なく、時価総額も60億程度。IRで広める力は課題。逆に見ればここの見せ方で株価は上がるとも思うが。

株価は2018年からの安値の1800円水準。
だからこのヨコヨコの水準で買うのはアリかな。
欲を言えば、1500円ぐらいで買えたらもっと良いんだけど。
もしくは今でいえば50日移動平均線にタッチとかその辺。

とりまたたき台の記事としては以上。

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